「業務を自動化したい」
そう思ったとき、 選択肢は大きく2つある。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と AIエージェント。
名前は似ているが、本質は全く違う。 どちらを選ぶかで、 自動化の未来が変わる。
RPAは「手順書通りに動くロボット」。 AIエージェントは「目的を理解して動く部下」。
RPAは画面のボタンを押す位置まで指定する。 画面が変わると動かなくなる。
AIエージェントは目的だけ伝える。 手段は自分で判断する。 画面が変わっても、目的が同じなら適応する。
この違いが、運用コストとスケーラビリティを決める。
- 根本的な違い:ルールベース(RPA)vs 目的ベース(AIエージェント)
- 導入コスト:RPAは初期費用100万円超が多い、AIエージェントは月額数千円から
- 柔軟性:RPAは画面変更で止まる、AIエージェントは目的があれば適応する
- メンテナンス:RPAはシステム変更のたびに修正が必要、AIエージェントは継続学習で改善
- 対応業務の範囲:RPAは固定手順の反復、AIエージェントは判断を含む業務も対応
- 2026年の結論:中小企業はAIエージェントから始めるべき3つの理由
RPAが向いている領域とその限界
銀行の送金処理・決まったフォーマットへのデータ転記・月次の定型集計処理など、「手順が完全に固定されており、絶対に変わらない」業務はRPAが適している。正確性が求められ、創造性が不要で、処理量が膨大な場合はRPAの独壇場だ。大企業の基幹システム周りでは今も有効に使われている。ただし、中小企業でRPAを導入する際には大きな落とし穴がある。初期設定費用が100万〜300万円程度かかること、業務フローやシステムのUI変更のたびにRPAの設定修正が必要になること、そのたびに追加費用が発生することだ。「導入したが、半年後にシステムが変わってRPAが止まり、修正費用が50万円かかった」という中小企業の事例は珍しくない。変化が多い中小企業環境では、RPAのメンテナンスコストが予想外に膨らむリスクがある。
AIエージェントが圧勝する領域──判断を含む業務の自動化
「メールの内容を読んで、緊急度を判断し、適切な担当者に転送する」「商談の議事録をまとめ、次のアクションを提案し、CRMに記録する」「競合他社の最新情報をウェブから収集し、自社への影響を分析してサマリーを作る」──これらはすべてAIエージェントが実行できるが、RPAには文脈を理解する能力がないため対応不可能だ。AIエージェントは「目的を与えれば手段を考える」が、RPAは「手段まで指定しなければ動かない」。また、AIエージェントは失敗から学習し、時間とともに精度が向上する。2026年現在、AIエージェントの月額コストは安価なプランで5,000円〜、フル機能で30,000円程度。同等の機能をRPAで実装しようとすると初期費用だけで数百万円かかる。中小企業における自動化投資の費用対効果は、AIエージェントが圧倒的に有利だ。
自社の自動化方針を決める
- 自動化したい業務を3つ以内でリストアップし、それぞれ「手順が完全に固定されているか(Yes/No)」「判断や文脈理解が必要か(Yes/No)」を確認する
- 手順固定かつ判断不要の業務はRPAを検討する。判断や文脈理解が必要な業務はAIエージェントが適している
- 中小企業で初めて業務自動化に取り組む場合は、AIエージェントから始めることを推奨する。初期コストが低く、柔軟性が高く、1つの導入で複数業務への応用が利くためだ
- 3ヶ月後を目安に「自動化した業務の処理精度」「月額コスト」「削減できた時間」の3指標を記録し、費用対効果を定期的に見直す習慣を作る
自動化の本質は、 「人間がやらなくていいことを見極める力」。
RPAもAIエージェントも、道具にすぎない。 大切なのは、その道具で 何を手放し、何に集中するかの判断。
それは、経営者にしかできない仕事だ。